2018年11月13日

研究会も世代交代?②

皆さん、こんにちは。
関西棋院棋士の星川愛生です。

前回は小学生の院生が新しく参加した様子をお伝えしました
その中で院生の川端くんと打った碁を途中まで解説したので、その続きを解説したいと思います。

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前回は黒が△に一手そなえた所で終わりました。
上辺を先手で荒らしたら、互先なら黒が大変ですが定先なのでまだ油断は出来ません。
黒が2、4と下辺を広げて来たので白5と打ち込みました。

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黒6のコスミツケから一連の数手は定番の形です。
特に白11は軽くて良い手なので、覚えておくと良いかと思います。

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実戦は黒12と押した後に14とハネて来たので白は15と三々で様子を聞きました。

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実戦の黒16は悪手で19、21とこちらを渡っては定先とは言え白が優勢です。

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ですが白が優勢でも危ない瞬間はあります。
実戦は左辺白が黒の猛攻を食らって、かなり危ない形になりました。
上の図で白1と出ましたがこれは悪手で、白Aとハサミツケていれば隅はコウなので楽に凌いでいました。

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それがこの図です。
黒10でコウではありますが、白はそばコウがあるので楽です。

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実戦は黒も本気で取りに来たので外にはみ出して行く展開になりました。
最後は白1、3の連携が上手くここで黒の投了になりました。
この後打つとしたら、白5を先手で利かして9のハサミツケでピッタリ白が凌いでいます。

今回は残念な内容でしたが、白が危ない瞬間もあり油断できない対局でした。
川端くんの今後の活躍に期待です!
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posted by プロ棋士さん at 17:41| Comment(0) | 囲碁 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年11月06日

研究会も世代交代?①

皆さん、こんにちは。
関西棋院棋士の星川愛生です。

この間の水曜日の手合の後に、関西棋院の子供教室の生徒と帰り道に一緒になりました。
お母さんと帰る途中でしたが、その彼は半袖半ズボンでした
まさしく子供は風の子ですね🎵

前回の予告通り私が通っている研究会の近況をお伝えします。

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最近の研究会の様子です。
見ての通り若い……というか若すぎますね(笑)
写っている4人はみんな小学生です!

ここ最近、小学生の参加者が増えました。
小学生と言ってもみんな院生です。
プロと打つ時は定先で対局します。

大抵は定先の手合では無いですが、こちらも研究会なので二子や三子で打っても上手の勉強にはなりません。

ちょうどこの間は院生で小学生の川端くんと打ちました。
なので今回はその碁の解説も行いたいと思います。

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私の白番で、ここまでの形は今年村川大介八段と打った進行と同じです。
村川八段はここで黒Aとかかって来ましたが実戦は……

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実戦は黒1とかけて来ました。
黒は上が厚くなり気持ちは良いですが、白も安心するので白2と受けました。
でもLeela Zeroの分析ではB方面が大きいとありました。
この辺りの判断は難しい所ですね

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実戦は黒1と星に構えたので、白2と置いて様子を見ました。
この手は定番の手ですね
黒3とあくまで白を遮断して来ました。
白は4~8と上辺でしのぐ展開になります。
白はもちろん死んだら終わりですが黒も簡単にしのがれると途端に甘くなります。

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実戦は白△の後に上の図になりました。
見ての通り、白が生きた上に黒19に一手必要で黒がかなり甘い展開です。
互先の碁なら既にかなり黒が苦しいでしょう。

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この局面では黒1とのぞいて白の眼を奪わなければなりませんでした。
黒も薄いので黒3で補強して、黒5のワリコミの後……

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シボって白を団子にした後に黒13と守って、この白石がしのげるかが勝負です。
対局中、この図を考えていましたが正直自信はありませんでした。
なので白△の手では工夫が必要だったかもしれません。

この後は少し難しい局面があったので、その解説と研究会の近況の続きは次回にしたいと思います。
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posted by プロ棋士さん at 14:40| Comment(0) | 囲碁 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年10月30日

対局時のお昼休憩について②

皆さん、こんにちは。
関西棋院棋士の星川愛生です。

もう日が落ちると上にもう一枚羽織らないと寒くなって来ました。
でもコートやジャンバーがかさ張るので悩ましい所です。

さて、先週はお昼休憩に食べに行った時のお話でしたが
今週はお昼休憩に入る直前に起こった珍しいエピソードをお伝え出来たらと思います。

前述の通り、手合は11時45分から休憩なのですが
例えば局面が進んでもう終盤となってたら
そのまま打つ継ぐ事も稀にあります。

私も経験がありますが、休憩に入った棋士が何故かこぞって見学に来るので
あまり気持ちの良いものではなかった記憶があります。
(しかもその対局は負けたのでそのせいもあるかも💧)

なので基本的にはポンポン打たない様に気を付けています。

何年か前の話になりますが、H九段との対局の時の事です。
自分の方が良いかなという形勢です。
A』案、相手の石を取りに行く
B』案、手厚く打つ
の二択がある局面です。

A』は相手の石を取れたら直ぐに決着ですが、やや読み切れない所があり不安が残ります。
B』でも形勢は良いですが長丁場になる可能性があります。

これは朝の内に決断するのは難しいぞと思い、休憩後にゆっくり考える作戦を取りました。
云わば『C』案ですね!

なので11時45分休憩を知らせるチャイムがなった時に対局時計を止めて席を立とうとしたら
H九段が「後、一手打ったら投了するから打ってよ」と言われてしまいました💦
要するに私が一手打ったらH九段が投了するという話なんですが、こんな事は初めてです
※相手の番で投了するのはマナーがよろしく無いとされています。

そもそも次の一手が悩ましいから保留したわけで、それを今すぐ打ってとは中々に厳しい話です。
いくら相手が投了すると言っても、変な所に打つわけにもいきません。

対局の時はどうやれば自分が勝てるかを考えるのが普通ですがこの時、私が考えていたのは
AとBどちらだとH九段は投げてくれるのだろうか?」でした。

H九段の心理状態を推理したりとまるで推理小説です!
囲碁を打っているはずなのに別のゲームが始まった感があります(泣)

11時45分を過ぎてきたので、もたもたしていると他の棋士が観戦しに集まってきます。
なので頭をフル回転させて、私が考えた推理(笑)とは?

A』の場合は石が取れるまで数手かかるので、一手打って終わりというのは不自然…
それよりも手厚く構える『B』なら相手の戦意もくじけるのでは…

名探偵ばりの推理力を発揮して『B』にしました。
まぁ、元々その前からB案に傾いていたので決断しました。

心の中では「Bでファイナルアンサー!」と叫んでいました(笑)
果たして正解なのかどうか。
クイズ番組なら間違いなくCMに入るタイミングです

ただ、私が一手打つと宣言通りH九段は投了してくれました。
どうやら正解だった様です

もし変な手を打ってH九段が「ん!?」みたいなリアクションの後に、普通に着手される展開を恐れてましたが
大丈夫だった様です。
実はどこに打っても投了してくれた説はありますが、そこは勝負師の性でしょうか?
ちゃんと裏付けを求めてしまいます。

私も棋士人生はそれなりの長さですが、こんな体験は初めてでした。
今回のエピソードを如何でしたか?
手合では偶に珍しい状況に出くわしたりしますので
このブログでも色々なエピソードをお伝え出来たらと思います。
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posted by プロ棋士さん at 15:25| Comment(0) | 囲碁 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年10月23日

対局時のお昼休憩について①

皆さん、こんにちは。
関西棋院棋士の星川愛生です。

いよいよ本格的に寒くなってきましたね。
皆さんも暖かくしてご自愛ください。

さて前回は対局時の電子機器の持ち込みについてお話しました。
その補足というわけではありませんが、
お昼休憩について今回はお話します。

棋士の対局は朝10時から開始になります。
そして11時40分くらいに何人かの棋士はそわそわしています。
何故かと言うと11時45分にお昼休憩に入るのです🎶

かくいう私もそわそわしている一人です(笑)
対局時の心理としては休憩前に難解な局面には入りたくないので
私の場合は11時半くらいから打つスピードを調整しています。

なので自分の番で休憩に入る事が多いかもしれません。
お昼ご飯は基本的には外でパンを買ってきて関西棋院の中で食べる事が多いのですが
鈴木敬施六段と同じ日に対局の場合は良く二人で外食しています

仲が良いのもありますが、鈴木六段食通で棋院の近くのお店にとても詳しいのです。
なので一緒に食べに行くというより、私が一方的に付いて行ってる感満載です(笑)

一応、毎回確認しているので鈴木六段も嫌々ではないかと思います💦

以前面白いことがありました…
ある日の手合の事。
その時はカレーを食べに行こう!という話になりまして、
鈴木六段にいかにも穴場なお店に連れて行ってもらいました。

席に座って「さぁ、何食べようかな?」とメニューを見たら……
カレーがどこにもありません
あるのはラーメンばかり!?

カレーを食べに来たら、気が付いたらラーメンを食べていた!!
何を言っているか分からないと思いますが本当の話です(笑)

どうもそのお店はスパイスが売りのお店でその時によってメニューが違うとの事。
鈴木六段もその事は知らず、以前来た時はカレーを出していたのでカレー屋さんだと思っていたそうです。

この様な体験は中々出来ないですよね!
因みにラーメンの方はとても美味しかったです

今回はお昼休憩に入った時のお話でしたが、次回は休憩直前に経験した面白体験をお伝えします。

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posted by プロ棋士さん at 14:31| Comment(0) | 囲碁 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年10月16日

対局時の電子機器の取り扱いについて

皆さん、こんにちは。
関西棋院棋士の星川愛生です。

気温的には寒くなって来ました。
ただ私の部屋はパソコンが熱を発しているので暖かいです(笑)

さて今回は対局時の電子機器の取り扱いについてお話したいと思います。
先月、ニュースになりましたが
日本棋院さんは10月から対局時には電子機器をロッカーに預けるルールになりました。

私はルールが変わってから交流手合を打っていないので
詳細はわかりませんが、関西棋院でも以前から議論はされてきました。
電子機器を制限する利用は皆さんもご存知の通り、囲碁AIの急速な進歩にあります。

もちろんハイエンドなGPUを使った分析ほどではありませんが、スマートフォンにもLeela Zeroはインストール出来ます。
私もLeela ZeroではありませんがAQをスマートフォンに入れています。
棋力はまだ私でも勝てる程度ですが、今後は更に進化するかと思います。

将棋の例を見るまでもなく、ルールを作るべきですが
どこまでやるかがとても難しい問題です。
一昨年くらいのニュースだったかと思いますが、チェスのグランドチャンピオンがお手洗いのトイレットペーパーの芯にスマホを隠していた事件がありました。

あるいはスマートウォッチみたいに腕時計と区別がつかない機器もあります。
もし完全にやるなら、公共の場所のチェックに金属探知機の導入や荷物検査など必要かもしれません。

将棋連盟さんは金属探知機を使っているそうですが、毎回ではなく抜き打ちで実施しているそうです。

おそらく究極は空港の様に金属探知機のゲートを通って、荷物はX線検査でしょうか💦
関西棋院でそれは現実的ではないので
落とし所が必要ですが、そこが難しい

スマホを預けるのは良いとして、誰もいない所に鍵もなしは怖いですよね?
もちろんスマホの使い方次第ですが、私的には財布に保険証を入れてる状態と一緒な感覚ですね。
なので雑な管理だと心配になります💧

分かりやすいのは対局時にはスマホを持って来ないのが一番ですが、それは強制出来ないのがまた難しい所です。

私が常々思うのは、なんだが江戸時代に逆戻りしてしてるのではと言う感覚です。
電子機器とは離れますが、小目に小ゲイマガカリが復活していますし、御城碁は缶詰で打たされて外界との接触は出来ませんでした
それにAlphaGoの打ち筋は本因坊道策を彷彿させます(笑)
それは置いといても、棋士が缶詰状態で対局するのも時間の問題かも……。

お昼休憩に、外で色々食べに行くのが楽しみな私としては困ったものです
皆さんも良いアイディアがあれば、是非教えて下さい!!
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posted by プロ棋士さん at 17:36| Comment(0) | 囲碁 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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