2018年10月30日

対局時のお昼休憩について②

皆さん、こんにちは。
関西棋院棋士の星川愛生です。

もう日が落ちると上にもう一枚羽織らないと寒くなって来ました。
でもコートやジャンバーがかさ張るので悩ましい所です。

さて、先週はお昼休憩に食べに行った時のお話でしたが
今週はお昼休憩に入る直前に起こった珍しいエピソードをお伝え出来たらと思います。

前述の通り、手合は11時45分から休憩なのですが
例えば局面が進んでもう終盤となってたら
そのまま打つ継ぐ事も稀にあります。

私も経験がありますが、休憩に入った棋士が何故かこぞって見学に来るので
あまり気持ちの良いものではなかった記憶があります。
(しかもその対局は負けたのでそのせいもあるかも💧)

なので基本的にはポンポン打たない様に気を付けています。

何年か前の話になりますが、H九段との対局の時の事です。
自分の方が良いかなという形勢です。
A』案、相手の石を取りに行く
B』案、手厚く打つ
の二択がある局面です。

A』は相手の石を取れたら直ぐに決着ですが、やや読み切れない所があり不安が残ります。
B』でも形勢は良いですが長丁場になる可能性があります。

これは朝の内に決断するのは難しいぞと思い、休憩後にゆっくり考える作戦を取りました。
云わば『C』案ですね!

なので11時45分休憩を知らせるチャイムがなった時に対局時計を止めて席を立とうとしたら
H九段が「後、一手打ったら投了するから打ってよ」と言われてしまいました💦
要するに私が一手打ったらH九段が投了するという話なんですが、こんな事は初めてです
※相手の番で投了するのはマナーがよろしく無いとされています。

そもそも次の一手が悩ましいから保留したわけで、それを今すぐ打ってとは中々に厳しい話です。
いくら相手が投了すると言っても、変な所に打つわけにもいきません。

対局の時はどうやれば自分が勝てるかを考えるのが普通ですがこの時、私が考えていたのは
AとBどちらだとH九段は投げてくれるのだろうか?」でした。

H九段の心理状態を推理したりとまるで推理小説です!
囲碁を打っているはずなのに別のゲームが始まった感があります(泣)

11時45分を過ぎてきたので、もたもたしていると他の棋士が観戦しに集まってきます。
なので頭をフル回転させて、私が考えた推理(笑)とは?

A』の場合は石が取れるまで数手かかるので、一手打って終わりというのは不自然…
それよりも手厚く構える『B』なら相手の戦意もくじけるのでは…

名探偵ばりの推理力を発揮して『B』にしました。
まぁ、元々その前からB案に傾いていたので決断しました。

心の中では「Bでファイナルアンサー!」と叫んでいました(笑)
果たして正解なのかどうか。
クイズ番組なら間違いなくCMに入るタイミングです

ただ、私が一手打つと宣言通りH九段は投了してくれました。
どうやら正解だった様です

もし変な手を打ってH九段が「ん!?」みたいなリアクションの後に、普通に着手される展開を恐れてましたが
大丈夫だった様です。
実はどこに打っても投了してくれた説はありますが、そこは勝負師の性でしょうか?
ちゃんと裏付けを求めてしまいます。

私も棋士人生はそれなりの長さですが、こんな体験は初めてでした。
今回のエピソードを如何でしたか?
手合では偶に珍しい状況に出くわしたりしますので
このブログでも色々なエピソードをお伝え出来たらと思います。
次回は11月6日(火)に更新予定です。
内容は私が通っている研究会についての近況をお伝え出来たらと思います。
posted by プロ棋士さん at 15:25| Comment(0) | 囲碁 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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