2016年11月24日

河、ZENに人間的、投了。

前回の記事の続きです。

河英一六段がどれだけのプレッシャーの中でZENと対局をしていたか。
そしてプロ棋士がコンピューターに負けるという現実を受け入れることの困難さ。

しかしこの投了には、感動しました。




河英一六段とZEN(弟)との対局条件は、持ち時間が45分で切れ負け。

局面は終盤で、作り碁になるかどうかという状況で、両者残り時間が5分を切っていました。

人間同士の大会なら、形勢以外に残り時間との勝負もあるような状況です。

形勢はややZENが有利なものの、河六段は勝負手の連続で、人間が相手なら最後までどちらが勝つか分からない感じでした。

そして勝負手も受けきられて、河六段は無念の投了。


しかし投了時の河六段はさすがプロだと感動しました。

投了の時、残り時間はZENが残り8秒。河六段は残り2分30秒でした。

ZENが残り8秒。

これは勝負手を打たずに、普通にヨセていけば確実にZENが時間切れ負けになっていました。
また、投了せずにあと二~三手打ってもZENが時間切れ負けになっていました。

それを、形勢が悪いからという理由で投了した河六段はすごい。

負ければ現時点では、コンピューターに負けた数少ない棋士として名前も残ります。

人間がコンピューターに負けるという現実は、当然受け入れなければいけないでしょう。

しかし、ZENが時間切れしないようにここまでの着手の思考時間を短縮していたら、河六段が勝っていた可能性もあるわけです。

その意味では時間切れしないことも勝負のうちです。

それも承知の上で、相手の時間が切れるからと、投了した河六段に私は拍手を送りたいと思います。

これこそ人間だからこそできる良さではないでしょうか。

皆さんはこの一局、どう思われるでしょうか?



posted by プロ棋士村長さん at 02:01| Comment(4) | AI囲碁 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
寝屋川囲碁将棋祭り、お疲れ様でした。

治勲先生が兄に勝ちましたが、弟との対局にこんな隠れたドラマがあったとは。

河先生の英断に拍手です。(^o^)/
プロ棋士としては勝負にこだわりたいですが、棋士としての矜持を選ばれたのですね。

素敵な裏話をありがとうございました。
Posted by ジャスミン at 2016年11月24日 11:41

寝屋川で観戦していました。
結果は残念でしたが、
このときの河先生の姿は本当に美しかったです。
この先生のファンでいて良かったと思いました。

Posted by mutsuko at 2016年11月24日 22:15
●ジャスミンさんへ

そうなんですよね。
ネットなどでは結果しか伝わりませんからね(苦笑)

しかも負けてしまうと、まるで河先生がボコボコにやられているかのように見えるものです。

実際は、すごく高いレベルで拮抗した戦いの末の、結果としての負けなんですよね。

機械なので間違えないのですが、1つ間違えると河先生の勝ちになるぐらいの紙一重の戦いです。

ネットではこういうのが伝わらないのが残念ですが、だからこそ書くしかないかなと思いました(笑)
Posted by プロ棋士村長さん at 2016年11月25日 00:12
●mutsukoさんへ

応援ありがとうございました!
私も解説中、形勢が悪いので、変に言葉を発することができない感じでしたよ(苦笑)
河先生もきっとmutsukoさんの視線は感じていたかと(笑)

投了は仕方がないですが、相手のことも考慮する余裕があるのもすごいことですよね。
結果だけでなく、この事実はもっと多くの方に知ってほしいですよね。
Posted by プロ棋士村長さん at 2016年11月25日 00:22
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