2018年06月12日

師匠との対局③

皆さん、こんにちは。
関西棋院棋士の星川愛生です。

前回は師匠の苑田九段との対局で次の一手を出題しました。
ブログ0604D.png
この局面ですね。
局後の検討では黒模様の消し方が難しいとの話でした。
そしてこの局面をAIに分析した結果…。
ブログ20180612.png
白1がAIの次の一手でした。
示された最初は頭の中が「?」でいっぱいでした。
黒2は第一感ですが、これには白3を先手で決めてから白5のシマリはびっくりしました。
白1~3の二手だけで仕事が終わった顔をして、最初はAIに腹が立ちましたが(笑)
これを咎めるのが難しいのです。
ここで変化図を一つ
ブログ20180612B.png
白1に黒2と受けると、グイグイ押していくのが好手。
もし白7に対して黒8と頑張って受けると白9からの11が決め手で黒の陣地が破れます。

今まで我々棋士でも中央の感覚が難しく、隅や辺と違って定石が無いのである意味ブラックボックスでした。
棋士の実戦で初手天元があまり無いのもそう言う事情です。
しかしこれからはAIがその辺りを解明してくれるかもしれません。

弟子の私が言うのは恐縮ですが、苑田九段の棋風を自分なりに分析すると
中央が厚いのでなく、筋が厚いと言った印象です。
分かり難くてすみません…。
言葉にすると非常に難しい💦
例えるなら、私ならその場で耐えてるならOKな所を苑田九段はもっと相手の石が来ても大丈夫な様に打ってらっしゃる印象です。
それでも遅れていないのが本当に不思議です

苑田九段は今も尚情熱を持ってて、毎週火曜に関西棋院で苑田研究会(通称、苑研)を何十年も続けてらっしゃいます。
苑研は検討中心の研究会ですが、苑田九段の人柄もあり和やかな雰囲気でされております。
かくいう私は隣で滝口研究会に行ってるので裏切り者ですが(笑)

そういう意味では苑田九段は一つの棋士の究極の形なのでは思います。
今回は『恩返し』(囲碁界で師匠に公式戦で勝つ意味)出来ませんでしたが、次回こそ『恩返し』したいと思います。
続きを読む
posted by プロ棋士さん at 17:55| Comment(0) | 囲碁 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年06月05日

師匠との対局②

皆さん、こんにちは。
関西棋院棋士の星川愛生です。

5月31日を持ちまして『わくわく囲碁の村』はサービスを停止致しました。
これまでのご愛顧有難うございました。

今後は関西棋院のHP内でコンテンツを発信していきたいと思います。
当ブログも「ネットで囲碁が楽しめる! 『関西棋院』ブログ」と一旦名前を変更いたします。
あくまで仮なので、何かいい名前があれば採用します(笑)

さて先週は師匠の苑田九段との対局を少しだけ解説しましたがその続きをやりたいと思います。
前回は三々ではなく一路下のツケをAIに勧められたと言う話でした。
ブログ20180528B.png
AIは特に序盤や中盤の感覚に優れていると感じます。
この後、数手進んで↓の局面
ブログ0604.png
黒に1~3と広げさせてから白4と動き出すのが
私の作戦でした。
実戦は白6にカケれたら白がまずまずかと思います。
ブログ0604b.png
実戦は黒9までなりましたが、△の黒が中央重視なのに
対して7、9は位が低いのでミスマッチの感があります。
と、ここまでの形で面白い事がありました。
この碁が終わった後の検討で金 秉民七段が示されたのが下の図で
ブログ0604c.png
黒1と高い方のケイマで、仮に黒5までとなった時に白から打つ手が難しいのです。
実はこの後にAIでこの局面を見させたところ、やはり黒1のケイマが一番評価が高かったです。
プロ棋士AIの意見が一致する場合、
その一手はかなり有力です

逆に下図の白1のオシは検討した結果、左辺の黒模様の荒らし方が難しいので却下になったのですが、
ブログ0604D.png
      (白番で次の一手は?)
AIはこの図を勧めてきました。そして、この後の黒模様の荒らし方が凄かったです。
師匠は日本棋院の武宮正樹九段と並んで中央が手厚い棋風で「東の武宮、西の苑田」と言われていました。
中央の感覚に一家言ある、苑田九段も気付かなかった次の手とは?
次週に答え合わせをしたいと思います。

続きを読む
posted by プロ棋士さん at 10:00| Comment(0) | プロ棋士 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年05月29日

師匠との対局①

皆さん、こんにちは。
村長の星川愛生です。

前回、追記でお知らせした通り先週水曜日に師匠と手合で対局したので思い出も含めながらお話したいと思います。
関西棋院HPのプロフィールを見てもらえれば分かりますが、私の師匠は苑田勇一九段になります。
中学生の時にプロになるために四国の香川から大阪に出て来て、苑田九段のご自宅に住まわせてもらいながら勉強する
いわゆる『内弟子』になりました。
時代の流れでしょうか、今では内弟子の人は殆ど見かけなくなりました。

苑田九段には弟子入りの最初の時に3子で打って頂きました。
当時、私は地元の香川ではアマの六段でブイブイいわしてました(笑)
それでも3子でボロボロに負けてしまったのを今でも覚えています。

当時は苑田九段の検討に「なるほどと思うけど、自分には真似出来ないな…」と思ったものでしたが、今回対局してみて、かなりの部分で「あぁ、先生は次こんな事を考えているな」と分かる様になったのが何より嬉しかったです。
つい最近、こども囲碁道場でペア碁をした時にペアを組んだ女の子から「先生(私)の打つ手全く分からない!」と怒られてしまいました💦
やっぱりお互いの打つ手が分かるのが一番楽しいですよね♪

さて肝心の碁の方ですが、私が白番です。
実戦は白がC17と三々に入りました。この局面をAIに分析させたところ
ブログ20180528.png

ブログ20180528B.png
1のツケを推奨されました
奇抜な手に見えますが、三々だと黒は間違いなく下から押さえて来るのでこちらに一路寄せるのは理にかなっています。

下の碁は中国の於之莹六段と袁亭昱二段の対局ですが、やはり三々ではなくツケていますね。
星に対してのツケはこれからの主流になるかもしれません。

ブログ20180528C.png

今回は序盤まででしたが、来週に中盤以降の解説と内弟子時代の思い出をお話したいと思います。

続きを読む
posted by プロ棋士さん at 10:00| Comment(0) | プロ棋士 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年05月22日

囲碁AIの活用③

皆さん、こんにちは。

村長の星川愛生です。


2回に渡って私の囲碁AIの活用法を紹介しました。

今回はAI同士の対局を見れるサイトをご紹介したいと思います。


まずはCGOSと言うサイトです。

サイトに繋ぐと↓の画面が出てくるかと思います。

ブログ2.png


ここは様々な種類のAIが打っていて、以前はZenもここでテストプレイをしていました。観戦したいAIをクリックすると


ブログ3.png

この画面になるので、見たい対局のviewを押せば

ブログ1.png

こうなります。これはZenの対局ですね。

最近、Zenはあまり対局していませんが、私が利用しているLeela Zeroや強豪ソフトも沢山対局しています。

AIでも、色々棋風があって見ていて面白いです。

もちろん勉強にもなりますが


次はLeela Zeroの自己対戦が見れるサイトをご紹介します。


ここはLeela Zero自体をダウンロードしたり、棋力の上昇値のグラフがあります。

肝心の棋譜ですが、下の方にいけば下の画面があると思います。

ブログ4.png

この画面の右側に◯◯◯VS△△△とありますが、基本的には上にあるのが最新版です。

ここの「VS」とアルファベットの羅列をクリックしたらLeela Zero同士の対局が見れます。


ブログ5.png

三々に入っているのがLeela Zeroらしいですね!

最近はAI同士の碁をかなり見ているせいか碁を見たらどのAIか分かる様になりました(笑)

皆さんにもAI同士の対局を見て勉強するのもお薦めしたいと思います。

普段とは違う感じで新鮮に思われるでしょう。

続きを読む
posted by プロ棋士さん at 17:05| Comment(0) | 囲碁 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年05月15日

囲碁AIの活用②

皆さん、こんにちは。
村長の星川愛生です。

このブログを書いている現在、とても天気が良く気温も高くて暑いくらいです💦

さて、前回私がAIを囲碁の勉強に活かしているお話をしましたが、今回は具体的にどの様な感じでやっているかお伝えしたいと思います。
まず自分の打った碁の分析ですが「Go Review Partner」というソフトを使っています。
↑のリンクからダウンロード出来ます。自分のPCに合ったものをダウンロードして下さい。

①解凍したフォルダのGoReviewPartner.exeをクリックしたらソフトが起動します。
②Run a SGF file analysisをクリックして分析したい棋譜ファイル(SGF形式)を選びます。
③出てきた画面は設定画面なので特に変えなくても大丈夫です。そのままStartを押して下さい。
ブログ1.png
この様な画面が出るかと思うので、しばらくお待ち下さい。
読み込みが完了すると↓の画面が出てきます。これがメイン画面ですね。
ブログ2.png
④右の碁盤にAとBがありますが、例えばAにカーソルを合わせると
ブログ3.png
Aの変化図が表示され、Bにカーソルを合わせるとBの変化図が出ます。
⑤メイン画面下の真ん中にあるTableをクリックすると候補手の勝率が出ます。
ブログ3.png
こういう画面は従来の勉強法では中々ないので新鮮ですね!
後、この「Go Review Partner」には面白い機能がありまして、勝率をグラフ化出来ます。
⑥メイン画面の右上のGraphsをクリックしたら↓のグラフが出ます。
ブログ3.png
これは黒から見た勝率のグラフですね。
こういったグラフも従来では無かったので見ていて楽しいです。
因みに私の手合時の勝率グラフは上下激しく全く安定していません
これからの課題ですね……。

新しい囲碁AIまたはソフトがどんどん出ているので、気分転換のつもりでこれらを試してみるのはいかがでしょうか
もし今回の記事で分からない事があれば、分かる範囲でお答えします♪
続きを読む
posted by プロ棋士さん at 16:17| Comment(0) | 囲碁 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
RSS取得