2020年01月21日

Leela Zeroに感謝、そして今後の囲碁AI

皆さん、こんにちは。
関西棋院棋士の星川愛生です。

今冬は暖冬なのか、例年より暖かい気がします。

さて、当ブログでも度々取り上げていた
Leela Zeroですが
どうも1月31日をもって開発を辞めてしまう様です。

Leela Zeroは有志の方が無償で開発をしていたAI
知識さえあれば、誰でも無料で使えるソフトです。
棋士の間でも、使っている人は多いかと思います。

Leela ZeroAlphaGoの論文を受けて、人間の棋譜を一切使わずにどれだけ強くなるのかの実証実験的な意味で始まりました。
私も自身のパソコンを使って、8000局ほどLeela Zero同士の自己対戦譜を送ったので
微力ながらお手伝いは出来たかと思います。

開発者の方には本当に感謝しかありません。
この場を借りて御礼申し上げます。

AIを使って囲碁をしていて思ったのは、今まで固定観念にかなり囚われていたのが分かりました。
私はLeela Zeroと対局したり、Leela Zero同士の碁を観戦しますが、毎回面白い手が飛び出して、感心しています。
なので私はここ1~2年、囲碁がとても面白く感じています

以前Leela Zeroが世界大会で入賞した時に開発者のインタビューで開発者のGian-Carlo Pascuttoさんは
Leela Zeroを開発して良かった事は、世界中の囲碁をする人をハッピーに出来た事だ」
と仰られてたのがとても印象的で素晴らしい人物なんだなと思いました。
※インタビュー記事は元が英語で、私が見たのは機械翻訳なのでニュアンスは少し違うかもしれませんが💦

実はLeela Zero以外にもKataGoSAIなどLeela Zeroのコンセプトを受け継いだプロジェクトはあるので
今後の囲碁AIはまだまだ注目です。

私が注目している囲碁AISAIの自己対戦の棋譜を紹介いたします。

無題.png
まずは序盤から
SAIは三々に対して手抜きする事があります。
黒3に対する白4がそれですね。

無題.png
右下の黒11、13のツケヒキの後も定石なら15手目で黒20に一間トビですが、ここも手抜きしています。

無題.png
かなり進みましたが、黒59の時に白60が柔らかい発想で好手です。
黒61とコスませてからの白62が名調子!
私の印象だとSAIは手抜きが得意で柔軟な発想の手が多い様に感じます。
まだLeela Zeroと比べても弱いですが、今後に期待しています。
続きを読む
posted by プロ棋士さん at 17:30| Comment(0) | 囲碁 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年01月07日

院生の事、強くなるという事②

明けましておめでとうございます。
本年もよろしくお願いいたします。

皆さんは年末年始はどの様に過ごされましたか?
私は実家の香川に帰って、本を読んだり詰碁を作ったりとのんびりと過ごしました。
1年目と違うのは大阪の自宅パソコンをオンにしたままにして、実家のパソコンで遠隔操作して
AILeela Zeroとも対局していました。
今のLeela Zeroの強さは凄まじいもので、互先で打つと60手くらいでもう必敗の形勢になっています💦
最近はLeela Zero相手に100手まで持たせるのが今の目標です。

さて、前回私が指導している院生の男の子の悩みを私の経験を踏まえてアドバイスした話をいたしました。
今回は過去の経験ではなく、今後の囲碁の未来、または展開をお話したいと思います。

今まで囲碁を覚えた時はアタリ最初に覚えて、かなり早い段階でシチョウを習うかと思います。
もし囲碁を打つ『人』で、シチョウを知らないのは入門者くらいではないでしょうか?
ここで『人』と強調したのはLeela Zeroを始めとしたAIは人の実力を超えていますが
実はシチョウが読めていなかったりします。
AI同士の自己対戦でもシチョウを最後まで逃げて大石ポン抜かれる碁がたまにあったりします。

なのでプロ棋士はシチョウを知らないAIに2子とか3子置くわけです。
これは今まで常識とされていたものが本当に重要かを見直すきっかけになっています。
逆に言えば、本当に重要なものをAIを通じて学べる可能性を持っています。
通常、院生くらいになると上達するスピードはかなり遅くなりますが
真に重要なものを見つけられれば院生でも直ぐに上達して入段する可能性がこれからあるのではないでしょうか?

それと今まではプロになれない見込みの子は師匠や院生師範から何歳までに何級になれないと諦めなさいと言われます。
いわゆる、首を切る宣言をするので言う方も辛いですが、今までは仕方ない行為ではありました。
しかし、これは今まで師匠や院生師範ひいてはプロ棋士が囲碁の強さの天井だったから言えた事でした。
※プロ棋士でも強さにバラツキはありますが、あえて天井と言う表現にしました。

これが例えば、アマ5~6段の方が院生の子に「君の実力ではプロ棋士になれないよ」と言ったらどうでしょうか?
私であれば「それ本当かな?」と疑ってしまいます。

アマ5~6段は先程の表現で言えば天井であったプロ棋士に3子くらいでしょうか。
天井3子の差がある人の発言がどれくらい信憑性があるのか……
実は現在、天井のAIと3子差のプロ棋士と言った関係になっています。
この状態で師匠や院生師範の言葉にどれくらい信憑性があるのか個人的には疑問です。

まとめると、今までの常識は通用しない時代に突入しているので
どんな子でもプロになれる可能性があるので周りの声に惑わられないで努力するのが大事と彼には伝えました。
幸いな事に院生を続けるみたいなので、今後も適切に指導して行く所存です!
続きを読む
posted by プロ棋士さん at 18:11| Comment(0) | 囲碁 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年12月19日

院生の事、強くなるという事①

皆さん、こんにちは。
関西棋院棋士の星川愛生です。

1週間ほど、体調を崩して寝込んでいました💦
やはりこの時期は気をつけていても風邪は引くものですね。
皆様も体調を崩されないようにお気をつけ下さい。

さて、以前私が院生の男の子にネットで指導している話をしたかと思います。
毎週指導碁と院生手合の碁を検討、宿題で出した詰碁の答え合わせ等々色々やっています。

先々週くらいに親御さんからお歳暮が届いたのでその御礼のお電話をした時です。
お父様から、その男の子が院生を辞めたいと言っていると聞いて
慌てて、その男の子と電話で話しました。

話を聞くと年下の子が院生にどんどん入って来てて、
自分はこれから上手くやって行く自信はないと言う話でした。
恐らく、年下の子に追い抜かれてショックだったのでしょう。

院生は過酷な状況で上を目指さないと
駄目なので常に大変です。
正直、私も院生時代には絶対に戻りたくありません。
(今でも院生時代の事は夢に見ます)

続ける続けないは本人の意思が重要で
私からどうこうは言えないのがもどかしいです。
なので、電話では私の経験談を少し話ました。

実は私も散々下から追い抜かれた口です。
例えば、瀬戸大樹八段も最初院生に入ってきた時は私が2子置かせていました。
しかし段々、手合割が向先、互先、そして最後は私が定先でも勝てなくなり瀬戸八段は入段されました。
その更に後に入ってきた河英一六段も似たようなパターンですね💧

この話の恐ろしいところは、私自身も級が上がり強くなっているのにも関わらず追い抜かれている点です。
院生は皆が勉強しているので強くなるのは当たり前。
その中で、プロになるにはライバル以上に強くなる必要があります。

その男の子には「先生(私)も〇〇君と同じ経験をしたよ」という体で話をしました。
大事なのは下から抜かれても諦めない気持ちだと思います。

実は私の経験談以外にも重要な話をしましたが、その話は次回にいたします。
経験談は過去の話ですが、次は未来についての話ですね

これが今年最後の投稿になりそうです。
今年も当ブログを読んで頂きありがとうございます!
来年も関西棋院ともども宜しくお願いいたします。
少し早いですが、皆様良いお年を🎵


続きを読む
posted by プロ棋士さん at 15:17| Comment(0) | 囲碁 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年11月26日

囲碁サロンについて

皆さん、こんにちは。
関西棋院棋士の星川愛生です。

昨日は朝少し暖かく、コートもいらないくらいかなと
思いましたが帰りの夜は寒くてコートは必須ですね💧

さてここ暫くは詰碁作りの回で図もたくさんありましたが、今回は図がないのでご了承下さい。

関西棋院には囲碁サロンが併設されていますが
このたび、私が囲碁サロン担当に就任いたしました
今までは仮の担当だったのでこれから本腰を入れて運営していきたいと思います。

関西棋院囲碁サロンは中之島バラ園を川で挟んだビルの5階にあるので眺めはバッチリです。
我々棋士が手合を打つところも同じ5階ですがやはり景色が良いところです。
手合で悪手を打った時は気持ちを落ち着かせるために外の景色を眺めます(笑)

景色も勿論良いのですが、関西棋院囲碁サロンの良いところは誰かしら棋士が常にいる事です。
指導碁も毎日やっておりますし、棋士の個人稽古や教室も開催されています。
なので棋士がとても身近に感じていただけているのではないでしょうか。

私も囲碁サロンをちょくちょく覗かせてもらっていますが、皆さん和気あいあいと対局されていて
こちらも楽しい気分になります。

DSC_1391.JPG
日曜日と祝日は貸し席もやっていますので、碁会とかも開催できます🎵
詳しくはTEL 06-6231-1589までご連絡下さい。
それと来年に囲碁サロン主催の認定大会も開催するので、その時は皆様ぜひご参加を
[ここに地図が表示されます]
続きを読む
posted by プロ棋士さん at 17:21| Comment(0) | 囲碁 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年11月19日

詰碁が出来るまで③

皆さん、こんにちは。
関西棋院棋士の星川愛生です。

この間、カルチャー教室の帰りにコートを忘れて職員さんが慌てて持って来てもらいました💦
これからの季節、コート無しで外を歩くのは厳しいですよね。

さて、前回前々回詰碁が出来るまでの経過を皆さんにお見せしましたが、まだ完成していませんでした。
そこは私の計算の甘さで申し訳ありません

実はこの様に詰碁になりそうなのに、散々考えたあげくボツになったものもたくさんあります。
あるいは最初に予定してた筋とは別の筋が採用される事も…
しかし、詰碁として成立するなら御の字と言ったところでしょうか。

無題.png
では、おさらいです。
上が最初の図で私の指導碁での実戦が元になっています。
黒1を正解にしたいのですが、白2のツケが好手でコウになります。
しかし、他の手でもコウになるので失敗です。

無題.png
そこで黒石と白石を1個ずつ取り除きました。
原型図で成立しない場合に、石を取ったり付け足すのはテクニックの一つです。
この図なら黒1で無条件で生きています。
しかし、ここで黒Aでも生きてしまう問題が発生しました。


ここまでが前回までのまとめです。
実は石を足したり引いたりする以外にもテクニックはあります。
それは石を移動させる手法です。
ただし、石を移動させ過ぎると原型がなくなるので注意が必要です。

無題.png
今回は黒石が○にあったのを△に移動させました。
一つ前の図での黒Aの筋を殺して、1のみを正解にする意図です。

無題.png
黒石を移動させましたが、1から7まで無事に無条件で生きています。
後は他に生きる手がなければ、詰碁としては完成です!

無題.png
今度は黒1と打っても白2の置きから6まで黒は眼がありません。
他の手も検証しましたが、やはり正解は一手だけになりました。
これで完成となります。

無題.png
「黒先黒生 3分で4級」
新聞や本に載る場合はこんな感じでしょうか。
少し気になるのは、良くある形なので既に問題としてありそうな点ですね。
苦労して作ったのに「その問題見た事ある」と言われるのが結構ショックだったりします💧

当たり前の事ですが詰碁を解く場合はゼロの状態から正解までを考えます。
しかし、詰碁を作る時は正解図からスタートして最後はゼロの状態にします。
プロセスが全く逆なんですよね

詰碁を解くのは実戦に役立つので必須ですが
詰碁作りは実戦に役立つかは未知数です。
なので、棋士で作る人と作らない人に分かれるのはそれが理由かもしれません。
因みに私の場合は完全に趣味です(笑)
以前も当ブログで紹介したかも知れませんが、1~2題ほどですが小学生の頃に作った詰碁もあるくらいです。

最近は作っても、あまり紹介する機会がないのが残念です。
なので当ブログで自作詰碁を紹介できるのは有り難い限りです🎵
年賀状用に詰碁を作るつもりなのでまたご紹介出来たらと思います。

続きを読む
posted by プロ棋士さん at 08:00| Comment(0) | 囲碁 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
RSS取得